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高森明勅
2015.7.29 01:00

小林よしのり氏を縮み上がらせた小学校教師

小林よしのりさんの小学生時代の話を伺った。

但し、私の記憶はかなりアバウト。

よって、正確さは保証出来ない。

が、およそ以下のよう。

小林さんは小学生の頃、剽軽(ひょうきん)でクラスの人気者。

担任の女性の先生にも好かれていた。

たまたま、クラスの中に存在感の極端に薄い女の子がいた。

小林氏は悪気なく、いつものウケ狙いで、
その子を「幽霊」
と呼んでみた。

すると、担任の教師は一言も発することなく、
怖ーい眼(まなこ)で小林さんをギロリと睨み付けたという。

それ一発で、小林さんをはじめクラス中が縮み上がったそうだ。

見事にイジメの芽を摘み取った瞬間だ。

もし先生が、それを軽い気持ちで見逃していたら、
どうなったか?

恐らく絶妙のアダ名だけに、
クラス中に広がったかも知れない
何しろ、後に“ポチ保守”をはじめ数々の言葉を流行らせた
才能の持ち主だ)。

そうすると、小林さん本人の意図とは関係なく、
その女の子を深く傷つけた可能性がある。

悪質なイジメがそこから始まるケースも、十分考えられる。

最悪、それが長年にわたって続いたかも知れない。

まさに自覚されざるイジメの“入口”だった。

その危険性をたちどころに見破って、
言のうちに(何か言葉で注意すれば、その言葉自体が更に
その子を傷つけかねない)
押さえつけてしまった。

まことに鮮やかな対処の仕方と言う他ない。

立派な先生だ。

こんな先生がいてくれたら、
学校での陰湿なイジメなど起こりようがあるまい。

小林さんは素晴らしい先生に恵まれた。

それにしても、そのことがあってからもう
半世紀ほどの歳月が流れている。

なのに、その場面を語る時、
オウム真理教に暗殺されかけても一歩も退かないような
多くの修羅
場を潜って来た小林さんでも、
いまだにビビった様子がありありと伝わってくる。

よっぽど怖かったんだろう。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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